妊活といえば、女性が妊娠に向けて前向きに行う活動というイメージが強いですが、これはなにも女性だけの活動ではありません。
今や、赤ちゃんが欲しいのにできない不妊の原因には、男性も約半分の割合で当てはまりますし、不妊を抜きにしても妊活を行うには男性の協力が不可欠なのです。
しかし、そこは男性と女性。性別も違えば、妊活への考え方も少し違います。
二人三脚で活動をしている夫婦がいるのも事実ですが、どちらかといえば妊活は女性がするものと思われているように、男性が妊活にあまり興味がないというのも事実は少なからず存在します。こうした意識の違いがあるのはどうしてでしょうか。
そこで今回は、
・夫婦で妊活これから妊活をはじめたい
・ご主人が妊活に前向きでない
・男女の妊活の意識の違いを知りたい
といった方に、男性と女性の妊活への意識差について詳しくご紹介していきます。
お互いに理解しあい、夫婦揃って前向きに妊活に取り組めるきっかけになると幸いです。
妊活の内容
言葉ではよく耳にする妊活ですが、妊活とは具体的に何をするのでしょうか?大まかにいえば、妊娠についての正しい知識を身に付けること、自分の体の状態を把握に努めるのも妊活です。
これらは夫婦揃って取り組む必要があります。
将来、自然に妊娠しやすい体を作っていく活動が妊活ですが、細かく分類すると次のようになります。
妊娠しやすい体を作る
妊活には、生活習慣の改善が必要です。妊娠力がつく栄養を取り入れることからバランスのとれた食事を作ることも大切です。
妊活に取り組む人の中には、葉酸など妊娠のメカニズムをサポートしてくれる栄養を豊富に含んだサプリやスーパーフードを活用して取る人もいます。
また、食事だけでなく睡眠時間や適度な運動もすることがベストです。運動をすることで、代謝機能も上がりホルモンバランスの乱れを抑えてくれますし、血行も良くなり、冷えの防止にもなります。
睡眠も寝ている間に人は睡眠ホルモンを分泌するので、卵子の成熟を妨げる活性酸素を抑制できます。適度な運動、良質な睡眠で得られる効果はこれだけではありません。
なにより妊活ではストレスを感じる生活も良くないので、睡眠と運動を見直すことでストレスの発散にもなりますし、妊娠しやすい体作りに良いといわれています。
特に女性の場合は、妊娠に大きな役割を果たす女性ホルモンが、体を冷やすことによって分泌が少なくなってしまい良くありませんから、冷たい物を食べる、コーヒーなど体を冷やしやすい飲み物を飲んだりすることを極力避けましょう。
季節問わず、下腹部を中心に温かくしておくことを意識することが必要です。
体作りは、妊娠しやすい環境を作り直しているといえますから妊活をするなら、必ず取り組む項目です。
診断・検査
妊娠は今や、意識して行うものです。普通に夫婦生活を過ごしていれば自然にできるものではなくなりつつあります。
そのために自分の体の状態を把握しておくことが大切で、妊活を始めるまえには男女ともに一般検査、不妊検査を受けることが勧められています。
一般検査は、血圧検査や尿検査など普段から受けることのある健康診断と変わらない項目内容で、特に性別で違いは見られませんが、不妊検査になると乳がん検査や精液検査など男女別で内容が異なります。
これらの検査で、不妊の原因が生活習慣や体にないかチェックをします。また、定期的な検診も妊活にとって必要な活動の1つです。
婦人科検診をしたことで特定が難しい不妊の原因を早期発見できたなんて例もあるように、常に自分の体の調子を把握することで妊娠にしやすい体を目指します。
内容としては女性の場合、内診をメインに医師が直接もしくは専用の器具を使用して、子宮などの生殖機能の診察を行います。
男性の妊活への意識は低い?
妊活の内容を見て分かるように、検査には男性が受診する検査もあります。
男性だって生活習慣を改めていかなければ当然、精力は落ちてきてしまいます。
ストレスによる精神的な原因、喫煙や飲酒、運動や食生活も無関係ではありませんし、年齢問題は男性にだってあります。つまり、男性にも体の健康に気を遣い、検査も進んで行う必要があります。
しかし、未だに女性の方が焦って当然という意識の差は見られます。不妊治療中の男女各100人(30~45歳)にとったアンケート調査の結果では、約8割の夫婦が妊活を始めたのは妻発信という回答です。
やはり男性から一緒にやろうと思うケースは少ないようです。妊活をしていたとしても、男性より女性が大変という印象も強く、どこか他人事のように思ってしまっています。
妊活への男女の意識の違い
男女で意識の差がでてしまうのは、やはり不妊の原因は女性というイメージが、まだまだ拭えないのもあります。
こういった意識の違いを助長しているのは、以下のことが原因かもしれません。男性の認識も理解しながらも、その差を埋めていきたいものです。
本能的なもの
赤ちゃんができると女性は「ママの顔になった」というように、母性本能が出てきますよね。しかし、男性の父性本能の話はあまり聞きません。
これは本能的なもので、女性は妊娠や出産、育児をこれから経ていくわけですから、これらの女性だけが持つ機能のために元々生まれ持っているものだといわれています。
その反面、男性はそういった経験を子作りでは行いますが、その後は女性任せなところがあり、そういった本能が働くのは女性より遅い傾向があるようです。
実際、男性が父親になったと自覚するのは赤ちゃんが生まれてからというのはよく聞く話です。
このように本能的なものがもともと違うのですから、妊活に男性がピンとくるのも女性より遅くて当たり前かもしれません。
年齢的なもの
年齢は男性にも関係してくる話ですが、どうも男性は自分には関係ないと思っている節があります。そのためか、子供が欲しいと思う年齢も男女で違いがあります。
女性は晩婚化に伴い、初産でさえ30歳以上が多くなってきているとはいえ、年を重ねるごとに卵子も老化してきてしまうという事実がわかっていますから、早めに子供を産みたいと考えます。
しかし、男性は年齢にリミットがあるのは女性だけという考えがどこかにあり、奥さんが若ければ大丈夫、といったように年齢に無頓着なところが少なからずあります。
どちらかといえば、妊娠における年齢的なものも女性を対象にしたものが一般的で、自分で調べようとでも思わなければ、なかなか入ってくる情報でもありません。それが余計に年齢への意識を低くしています。
妊活への考え方
妊活は女性がするものというイメージに加え、妊活への意識が違うと、夫婦一緒にと思うのはなかなか難しい気がしてきます。
またこうした事情の他に、妊活に一緒に取り組む意識に差が見られるのは、女性、男性共に次のような考えになってしまうこともあります。
女性の考え
妊活をしようという男性は2割程度と低いのは、男性と女性の意識の差もありますが、女性自身も、自分に原因があるのでは?と考えてしまうことの影響が大きいです。
妊活へのイメージもそうですが、男性にも半分くらいの割合で不妊の原因があるとわかっていても、この事実があまり知られていないという理由が挙げられます。
勃起障害のように、男性側が性交渉をできないのであればまた話は別かもしれませんが、できているのなら問題があると思わないのが普通のようです。
それもあって、女性は妊活へ取り組むのが男性より早いわけですが、病院へ検査に行けば自ずと男性も受けなくてはいけないことがわかります。
女性側としても男性に検査を受けるように勧めるのは切り出しにくいと考えてしまうところがあります。仮に説明できたとしても、パートナーが納得してくれなければ意味がありません。
男性の考え
妊活に取り組むのは女性が主体と思っている男性が多いというのもありますが、実は男性は妊活をしていると周りに相談しないという回答が女性より高いくらい、弱みを見せない傾向があります。
また、精神的にも女性よりナーバスになりやすい面もあるために、女性が妊活に必死になればなるほど、変にプレッシャーを感じてしまうこともあるようです。
そして、検査や健康診断は原因を早めに発見するために必要なのにも関わらず「もし、自分に原因があったら…」と考えてしまうことがあります。実際、検査結果で原因が自分にあると分かった場合、女性より心のダメージを受けやすいことがわかっています。
原因を特定できるならしておきたい、と女性は思いますが、最悪のケースを想定してしまう男性はそういった理由などから妊活を拒否してしまうところも見受けられるようです。
女性の心掛け
女性としては一緒に妊活を受けて欲しいと思いますから、男性が乗り気でないと焦ってしまいます。しかし、そこは焦らずに男性の気持ちを考えてあげましょう。
考え方にもあるように、男性は女性に比べて考えの切り替えが苦手な傾向があるので、妊活をしようと女性側が強く発言するほど、苦痛に感じてしまいます。
妊活=女性というイメージもあり、説得するのは時間がかかることが予想されますが、ゆっくり理解を得ていきましょう。急に全てやろうとするのではなく、生活習慣であれば1つずつ取り入れていくのがオススメです。
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また、今では男性が病院やクリニックに行かなくても、精液検査であれば自宅で女性が採取して持って行く方法もあります。
ただし、病院によって方針は異なりますし、勝手に検査をしてしまうのも良くありませんから、担当の先生、特にパートナーである男性とよく相談しましょう。
デリケートな問題なので、話し合うにしても避けてしまいがちですが、互いの気持ちを一番にわかりり合えるからこそ夫婦なのですから気持ちはよく確認し合いましょう。
夫婦で生活習慣の改善
男女で妊活の考え方に違いはありますが、だからといって1人で妊活は行うものではありません。生活習慣にしても、例えば喫煙や飲酒は女性だけが避ければ良いというものではないです。
男性も量を抑えるなど注意をしないと、生殖機能にダメージを与えますし、精子が減少してしまうこともあるのです。
食生活も同様に、男性も栄養バランスの取れた食事や運動を上手く取り入れることで、肥満など不妊にも繋がる原因を避けることができます。
また、男性の場合、仕事もしているわけですから、どうしても不規則な生活を送りがちでストレスも感じやすいことでしょう。
女性が妊活でストレスを感じてしまうのが良くないように、男性がストレスを溜めてしまうのも、精子の質が低下するなど体にとっては悪影響です。
ここは、夫婦一緒にウォーキングをするのもストレス解消の1つになりますし、女性も大変だとは思いますが、男性がストレスを感じないようにサポートしてあげることも大切です。
どちらか一方が頑張るのではなく2人で支え合っていくことができたとき、妊活にも良い結果が巡ってきます。
不妊治療も協力が必要
不妊治療を例に挙げてみても、確かに女性主体と考えてしまうことでしょう。女性が一生懸命になのに対し男性は無関心、もしくは楽観的なんてこともあるようです。
しかし、こうした治療にも2人で取り組んでいくことが必要なのです。タイミング療法となれば、男性にも排卵日にタイミングを合わせてもらわなくてはいけなくなります。
治療内容によっては、男性も精子を人工的に提供します。男性にとっても関係がないわけではないのです。男性の中には最終的に生むのは女性だから、「治療に関してとやかく言わない」と思う男性もいます。
それはプレッシャーを女性にかけないという気遣いですが、それでは女性に負担が大きくかかってしまい辛いところです。その反面、黙っていてくれてありがたいと感じた女性もいるので難しいところです。
一番は向き合うことが大事になってきます。治療にしても男性が検査してくれなければ、具体的な治療方針が決まりませんし、その方針が間違えの可能性だってでてきます。
なにより、治療は1つではありませんから女性だけに任せるのではなく、2人の治療だと思って一緒に悩んで、考えていくことが大事です。
まとめ
性別の違いから、どうしても生まれてしまう意識の差はお互いの歩み寄りで埋めていくしかありません。夫婦の数だけ向き合い方も妊活への取り組み方も何通りもあり、正解はありませんが、妊活は1人だけではできないものです。
感情のぶつけ合いになってしまうこともあるでしょうが、パートナーの気持ちを聞き合い、分かり合って取り組んだ妊活はきっと良い結果を招きます。お互いに納得のいく妊活で、妊娠を前向きに検討したいです。